barutanGNE's blog

kindleで読んだ本の感想や、プログラミングに関する記事など。

ウェアラブルは何を変えるのか?感想

読了して考えたことをつらつらと。

Google glassは普及するか?

ウェラブルコンピュータと聞いて最初に思う浮かぶのはGoogle glassだ。Google glassは、開発者向けに公開され、いろいろなレビューが出ているが、賛否は様々。個人的には、否定的な意見を結構目にする。
Google glassの問題点は、利便性に関するものと、社会規範に関するものとがある。利便性に関するものとして、バッテリーが長時間もたないとか、使っていると頭が痛くなるとかいうことが報告されている。これらは、近い将来技術的に解決されるかもしれない。
しかし、社会規範に関わる問題のほうは解決が難しいと思う。まず、カメラ機能のついているGoogle glassを装着している人と対面で話すのは、抵抗がある。また、運転や歩行中のながら使用も問題だ。歩行中はだめ、人と話している時もだめで、頻繁に着脱しなければいけないウェアラブル・コンピュータでは、持っていても煩わしいだけだろう。
これらの問題点を考えると、近い将来スマホのように普及するのか疑問だ。ただ、工事現場や手術室など、限定的な場面で使用されるようになっていく、というのはありうる。

ニュース - 波紋を呼ぶ「Google Glass」、使用を禁止する動きが米国で相次ぐ:ITpro
Googleグラス着用者お断りのレストランがシアトルに出現 - GIGAZINE
屋根工事の現場で「Google Glass」が活躍 « WIRED.jp
大学病院でGoogle Glass臨床試験が始まる、「グラス診療」がブレーク寸前 « Emerging Technology Review

フィットネス系のウェアラブルコンピュータ

本書で初めて知ったのだが、ウェアラブルコンピュータとして、手首につけて日々の運動量を記録してくれるフィットネスウェアラブルが結構出てきているという。Nike+ FUELBANDが有名なようだ。本書で言っている通り、課題がたくさんあるGoogle glassよりもフィットネス系のウェアラブルは早く広く普及していくだろう。
ただ記録する、というのは、実は大きな効果があると思う。例えば僕のスマホには万歩計アプリがついているが、これのおかげで日々の運動量が大雑把にだが把握できる。それを見て、「今週はもっと運動するか」という調節をしている。効果のほどはやったことがないのでわからないが、日々の食事を記録するだけの「レコーディングダイエット」というのもあるようだし。しかし、記録する、というのは結構めんどくさいので、なかなか続かない。それを代わりに身につけているだけでやってくれるデバイスは、欲しい人がたくさんいるだろう。個人的には、Nike + FUELBANDは欲しいけど高くて手がでないので、競合製品なども登場してどんどん安くなっていってくれるとうれしい。
Nike + FUELBANDは、三軸加速センサーによって運動量をモニターしている。ほかにも研究中の技術として、体温をモニターする電子いれずみや、血管に光を照射して、血中糖度をモニターする腕輪のデバイスなどが本書で紹介されていた。

究極の姿 ウェアラブル・コンピュータからサイボーグへ

イーガンのSF小説短編「イェユーカ」には、つけているだけで健康を保証してくれる指輪がでてくる。今手元に本がないのでうろ覚えだが、その指輪はただ血液から健康状態をモニターするだけでなく、自動的に投薬もしてくれるデバイスだったはず。ここまでくると、身に付けるコンピュータというより、身に付ける臓器という感じだ。
人間の健康状態をモニターするウェアラブル・コンピュータはだんだん出てくるだろうが、人間の健康状態をコントロールするデバイスは現状、ペースメーカーなどの治療目的に限定されていて、病気の予防や身体機能の強化を目的とするデバイスが一般向けにでてくるのはまだまだ先だろう。こうなるとサイボーグっぽくなってくる。
SF好きの自分としては、ウェアラブル・コンピュータの普及がどんどん進み、気づいたらみんなサイボーグになってました、みたいな未来を思い描くのは楽しい。